フレキシブル基板(FPC基板)は柔軟な薄いフィルムにプリント導体回路を形成し、柔軟性と屈曲性があり大きく変形させることが可能な基板です。
フレキシブルエレクトロニクスと呼ばれる変形可能な電子技術を使っており、薄いフィルム上(ポリイミド樹脂など)に導体を形成し、硬質基板では不可能な様々な用途に使用されています。
この基板は通常 フレキシブルプリント基板、フレキシブルプリント板、フレキシブル基板、フレキシブル板、フレキ基板、フレキ板、或いは フレキシブルプリント配線基板、フレキシブルプリント配線板 と呼ばれます。
又 Flexible Printed Circuit の略語で FPC、FPC基板、とも呼ばれます。
(海外では FPCB と表現される場合もあります。)
フレキシブル基板(FPC基板)は空間を60%~90%節約でき、しかも実装に自由度を持てることから、電子機器の小型化、軽量化のニーズによく対応した基板となっています。
フレキシブル基板(FPC基板)の性質としては、小さな力で繰り返し変形させることが可能であり、変形してもその電気的特性を維持することができます。また、フレキシブル基板(FPC基板)の材質は、絶縁体としてカバーレイと呼ばれるポリイミド膜、或いはフォトソルダーレジスト膜、そして導体には銅を使います。
フレキシブル基板(FPC基板)の製造には、部品実装ランドをカバーフィルムで押さえるのが良く、パターンの引き回しは出来るだけRを付け、カバーフィルムの貼りズレや補強材の貼りズレを考慮して最小パターン及び最小ギャップを設定/設計する必要があります。
フレキシブル基板(FPC基板)の基本的な製造工程/構造としては、フィルム状の絶縁体(ベースフィルム)の上に接着層を形成し、その上に導体箔を形成した構造となっており端子部や半田付け部以外は絶縁体を被せて保護しています。
現在、フレキシブル基板(FPC基板)は、その性質/特性を高める為に材料そのものの改良が進んでおり、例えば高周波へ対応する為、絶縁体にポリイミドではなく液晶ポリマを使います。液晶ポリマはポリイミドに比べて比誘電率や誘電正接が低く、高周波でも損失を抑える事が出来ます。又、銅張積層板の耐熱温度を高めることでリフロー温度を高めて、リフロー時間を短縮することができるようにした製品もあるなど、その技術は日進月歩で進化し続けています。
1 | 配線の合理化 | 配線や接続作業が単純化/簡易化されるため、配線のテストや修理時に要する時間などが短縮できる。 |
2 | 製品のコンパクト化 | 空間を有効に活用でき、容量あたりの配線効率UPと軽量化が可能。 (リジッドの約90%、電線の約50~75%の節約が可能) |
3 | 信頼性の向上 | 誤配線が皆無となる。 半田付けも減少し、作業ミスの防止が可能。 |
4 | 製造コスト低減 | 部品点数と工程数の減少により、トータル的なコストダウンを実現することが可能になる。 |
フレキシブル基板(FPC基板)の用途は、可動部分への配線や立体的な配線に使われ、例えばプリンターのヘッドに電気信号を伝える配線や、折りたたみ式携帯電話の蝶番を通す配線、カメラレンズ内の配線などに使われています。
又、フレキシブル基板(FPC基板)は、メイン基板から離れた液晶ディスプレイなどの部品に電気信号を伝送する配線や、空間的制約のために配線や板を曲げる必要がある場所に使われたりして、電子機器の小型化、高性能化、薄型化が要求される携帯端末、パソコン、カメラ等のデジタル機器に多く採用されます。その他、用途は多種多様あらゆる電子機器/精密機器に及びます。